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米国の大学のコロナ対応と今後の教育・研究についてのパネルディスカッションについてのメモHigher Education in a Post-COVID World: A Panel Discussion with University Presidents

   我が国でもワクチン接種が本格化してきた。大学でも集団接種が始まり、学生の海外派遣の再開も次第に現実味を帯びてくる可能性が高い。そこでコロナ後の国際教育がどう変わるか、米国の大学の考え方はどうか、大学のリーダーである学長レベルの考え方を確認することには十分な意味があるだろうと考える。  その一例として、 YouTube が米国とパキスタンの3大学の学長による大変に面白いセミナーを配信しており、今後の日本の大学にとっても参考になると思われたので、以下に筆者なりの理解を記しておくこととしたい。米国の大学がコロナ禍の経験を活かして、大学のミッションである世界への貢献を前向きに捉えていることがよく分かる。コロナワクチンの学生への接種の進め方の議論もあり、国際教育に関わる我々にも大いに参考になる。 なお、これはあくまで筆者の主観的なメモであり、セミナーの厳密な内容はぜひオリジナルのビデオを見て確認を戴きたい。   Higher Education in a Post-COVID World: A Panel Discussion with University Presidents Apr 16, 2021                                YouTube のアドレス:  https://www.youtube.com/watch?v=yc_LYdRyEAw 出席者: The Yale Institute for Global Health (YIGH) Peter Salovey, President, Yale University Elizabeth Bradley, President, Vassar College Firoz Rasul, President, Aga Khan University Saad Omer, Director, Yale Institute for Global Health.   出席者は上のリストにもあるとおり、 Yale 大学学長、 Vassar 大学の学長、そしてパキスタンの Aga Khan University (AKU) 学長であり、司会者は Yale 大学の Global Health 研究所所長である。   1.コロナ禍が大学運営に突

「AIと憲法」山本龍彦編著 日本経済新聞出版社 2018年

  朝一番で7キロのインターバルトレーニングを終えてコロラドに向かい、コーヒーを飲みながらの新聞。10時に家を出て四条烏丸のオフィスに来ている。  今日は「AIと憲法」を読んでいるが、大変に面白い。ただ例によって消化不足である。なにしろ研究室に置いてあった沢山の本を一挙に読んでいるから大変だ。  「AIと憲法」は、AIの利用が世の中でごく当たり前になるなかで生じるさまざまな問題を法律という視点から検討している。経済学で考えるのと違って、たとえば個人の人権という別の次元からの問題追求は大事なことだと感じる。経済学だけはどうしても効率性という観点からだけになりがちだが、たとえば「戦闘的な広告」は個人の自由な選択権を侵害すると言われるとなるほどと納得する。  「AIと教育」の章は教育に関わってきた者として大事なことが書かれていると思う。たとえばAIが授業を行うようになると教室でどのような事が起こるだろう。授業は個別化し、それぞれの生徒や学生は自分に合わせた内容を個別に学ぶようになるだろう。できる生徒はどんどんと進み、ゆっくりとした生徒との格差はどんどんと開く。そのときに学年制が成り立つだろうか。そして仮に理解が遅いにしても他の友達と一緒に苦労しても学びたいという生徒の権利を奪うことにならないだろうか。。。教師にとって「教育の自由」は残るのだろうか、などこの本は多くの課題を投げかけている。  とても一日ではまとめられないが、これからの教育機関は大きな課題に向き合っていくことになる。我々にとって大きなチャレンジが待っている。