翁邦夫氏の「移民と AI は日本を変えるか」(慶應義塾大学出版会)

 翁邦夫氏の「移民と AI は日本を変えるか」(慶應義塾大学出版会)を一応読了した。大変に素晴らしい本である。これだけの本をまとめられた力量には全く感服する。

 私は単に経済学的な観点を期待して、この本を読み始めたのだが、読み進めるに従って、完全に期待を裏切られた。正確に言うと良い方向に裏切られた。もちろん、この本の最初の移民の限界生産力、賃金をめぐる議論は経済学的に大変に面白い。

 しかし、それ以上に印象に残るのは、たとえば61ページで「移民は幸福を追求する権利のある人間である」と書かれており、これが著者の基本的な認識である。著者は何度となく、この点を強調している。そして、日本で増えているベトナム人の労働者についても単に経済学的な考察を超えた宗教や世界観についての深い考察を与える。

 この本についてはこのブログでも何度か触れることになるだろう。ぜひお薦めしたい本である。


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